お出掛け 屋久島旅行
 
1993年、ユネスコによる世界遺産条約の自然遺産に登録された屋久島。ほぼ円形をした山岳島で、九州最南端の佐多岬の南方約70Kmの洋上に浮かんでいる。九州最高峰の宮之浦岳をはじめ1500mを越す山々がそびえ立ち、「洋上アルプス」の異名を持つ。島の75%は山岳地帯。

海あり、山あり、冬には山頂に雪が積もり、5月を過ぎるとウミガメが産卵にやって来るという。カメラを持っていかなったのが非常に悔やまれる。でも、カメラを持っていかなったせいで、一生懸命五感で自然を感じようとする自分があった。カメラを持って行くと、景色を見ていても自然と写真として良いアングルを探してしまう・・・(どっちが良いのだろうか?)。



縄文杉

トロッコ道
島のほぼ中央に位置する縄文杉。屋久島にやって来た目的は縄文杉を見ることだったので、たとえ往復で8時間かかると言われようと行くしかないのである(日頃の運動不足が非常に心配であるが・・・)。荒川口までのタクシーを頼もうとしたところ、そのタクシー会社、バスを出していて、ちょうど宿の前を通るので朝6:00に宿の前で拾ってくれるらしい。さすが屋久島、応用が利くじゃないの。翌日5:30に近くの弁当屋さんで朝御飯を購入して、バスの中で朝食をとることに。

ものすごいワインディングロードを通って、ようやく登山入り口である荒川口に。荒川口までの道はものすごくうねっているので、車に酔いやすい人はちょっと辛いと思う。朝御飯を食べてしまったためか、B隊員は気分が悪くなってしまったらしい。どうも、黙ったままバスのシートに埋もれていたわけだ(情けない)。登山口から縄文杉まではトロッコ道が2.6Kmあって、その後8.1Kmの山道となる。小杉谷までのトロッコ道は枕木を歩いていくのだが、歩幅がまちまちになってしまうのでなかなか歩き辛いっ!


トロッコ道

途中何カ所か、崖崩れのためにトロッコ道が寸断されていた。やっぱり雨が降ると相当の雨水が流れ出すのだろう。また、小杉谷には小杉谷小中学校跡地がある。ここにはかつて村があって、昭和45年に廃村になるまでは屋久杉伐採のため500人近くの人が住んでいたらしい。こんな平地の見あたらない場所で、500人近くも住んでいたというのだから驚きだ。

小谷杉からは山道となっている。トロッコ道もそうであるが、ここでは生い茂る木々によって山道は木陰となっているので、予想していたより体力の消耗は少なかった。また、あちこちで綺麗な水が流れているので飲み水にも困らなかった。前日に購入したペットボトルに水を汲んで水筒変わりに。そういえば、ペットボトルの登場で、昔遠足で持って行っていた水筒は売り上げがずいぶんと落ちているんだろうなぁ、なんて考えてしまう。

トロッコ道
ひたすら歩き続けてお昼頃、ようやくウィルソン株に到着。ここでお昼だから若干ペースが遅いかもしれない。まぁ、ゴールデンウィークのために山道がメチャクチャ混んでいたのだからしょうがない。ウィルソン株は豊臣秀吉によって伐採されたという話もある。この切り株をウィルソンさんという人が雨宿りのために洞窟と思って入ったそうだ。洞窟と勘違いしてしまうほどであるから、やはり大きさは相当なものですよ。

ウィルソン株を後にして、その後樹齢2000年、3000年といわれる大王杉、夫婦杉を通過してようやく樹齢7200年とも言われる縄文杉に。ごつごつした岩肌の山に、こんな大きな木が根を張って7200年も生息しているのだから凄い!以前は木の幹に触れることができたらしいのだが、今では根の損傷があるらしくて柵で囲まれてますよ。ようやくの縄文杉とのご対面だが、あまりゆっくりとしていられるような場所がなかったので時間もそこそこに引き返すことに。


トロッコ道
そういえば、縄文杉を見に来て驚いたことがもう一つある。川の名前を忘れてしまったが、河原に転がっているメチャメチャ大きな石! 河原のあちこちに巨石がごろごろと転がっている。大雨が降ったときにゴロゴロと転がってきたのだろうか?うーん、こんな大きな石が転がるところ、見てみたいものだ。きっと凄い迫力に違いないっ。縄文杉を神木と呼ぶのなら、こちらはさしずめ神石と呼べることだろう。自分としては縄文杉に匹敵するくらいの印象を持った巨石であった。


屋久杉の豆知識
・樹齢1000年を越える天然杉を屋久杉と呼び、それ以下は小杉と呼ばれる。
・屋久島に生える杉は根を張る土がほとんど無いので、気根がある。
・養分が少ないために成長速度がとても遅く1年間に1mm程度しか成長しない(通常は1cm程成長する)。
・普通の杉の3倍以上のヤニがあるため、木が腐りにくい。よって、倒木となった杉は腐ることなく残り続ける。この倒木に種が落ちると養分を含んだ倒木に根を張って新たな木が生長する(これを「倒木更新」や「切り株更新」という)。


白谷雲水峡
レンタカーを借りたので、自分で運転していくことに。宿からはだいたい40分程の道のり。しかし、この道がまた前日の荒川登山口までの道のように細くてくねくねした道が続くのであった。この日は連休の最終日のため、対向車がほとんど無かったのでとても助かった。

トロッコ道


トロッコ道
さて、白谷雲水峡は標高800mに位置して屋久島の原生林の魅力を誰でも気軽に体感できるところ。渓谷を巡る散策路は、所用30分、1時間、2時間30分の3コースが用意されている。中に入るには、森林環境整備推進協力金として¥300を支払う。上の写真は、¥300を支払ったときにもらえる絵はがき。


時間もあり余っているので、白谷雲水峡を十分に満喫するため2時間30分コースを選んだ。しばらく歩くとシダやコケ類が至る所に絨毯のように生い茂る原生林が辺り一面に!しかし、気軽にとあるけれど、縄文杉までの山道のように舗装されていないので、こっちの方が遙かに歩きにくいかもしれない。ここの登山道はかつての島津藩が屋久杉伐採のために造ったという。こんな山道を重い荷物を背負って歩くのだから、昔の人の体力ってすごいなぁなんて感心してしまう。

辻峠の少し脇にある太鼓岩というところにも行ったけど、ここからの見晴らしがすごく良かった。崖っぷちに巨石があって、そこから周りの景色が見渡せる。辻峠からは生い茂る木々をかき分け、赤いリボンを目印に進むが、是非とも訪れておきたい所。この屋久島に来て初めて、宮崎駿の映画『もののけ姫』が屋久島を参考に製作されたということを知った。確かにこの白谷雲水峡を歩いていると、『もののけ姫』の宮崎駿ワールドがそこにはあった。その辺から今にも首をカタカタさせた白い妖精が出てきそうであった。

トロッコ道
この白谷雲水峡は本当に原生林を体感することができ、とても楽しめるところであった。個人的には縄文杉よりもおすすめである。途中子鹿にも会うことができ、思わず布袋のバンビーナを歌いながら山道を歩くのであった。屋久島では、頻繁に屋久鹿を見かけることができた。一湊灯台へ行くときには、飛び出した鹿を思わず引きそうになってしまったほどである。



大川の滝(おおこのたき)

トロッコ道
島の南西部に位置し、屋久島最大規模を誇る大川の滝(おおこのたき)。その規模は南九州一とも言われ、日本の滝100選にも選ばれているらしい。高さ88mの断壁から豪快な水しぶきをあげて滑り落ちる様子を間近で見ることができる。車が4, 6台止められる駐車場があり、滝壺間近には公園にあるようなテーブルも用意されているので、弁当を持って涼をとりながら昼食を取ることも可能。



フルーツガーデン
熱帯植物や南国の果実が生い茂る屋久島フルーツガーデン。パパイヤ、マンゴー、グアバなど約1600種類の果実や植物が植えられている。内部の見学はガイド付きで植物の説明を聞きながらフルーツガーデンを回る。ここで食べたグアバアイスやタンカンが美味しく、南国への思いを馳せることに。


鹿児島市
屋久島からフェリーによって鹿児島本港へ。帰りの飛行機までに時間があるので、ちょいと鹿児島見学を。とりあえず時間もあまりないので城山公園へ。ここの近くには西郷洞窟があるけれど、きっと中はほとんど見ることができないと思ったので、城山公園からの景色を見ることに。驚いたのは、ここで売っていた西郷隆盛のプロマイド。

どう見てもここ数年で作られたようには見えなかった。というより、今では生産すらされていないだろう…。うーん、こんなものが売っているなんて、恐るべし鹿児島。これって売れているんだろうか、そんな疑問を持ったけれどもお店の人に聞くのは止めることにした。

鹿児島市に来てもう一つ驚いたのが、天文館。失礼な話だが、鹿児島というところはひどく田舎だと思っていたけど、ここの天文館という商店街はずいぶんと大きな所だった。また個人商店が多く、その店長に若い人が多かった。鹿児島の人というのは、独立心が旺盛なのだろうか?