見学のススメ たたら操業@東京藝術大学
本日は、上野からテクテク東京藝術大学は「たたら操業」の見学だ。日曜の朝から、平日並みの起床時間。
たたら操業、そう、日本の伝統鉄造り作業。先日の刀剣博物館より、本日のたたら操業見学と、良い感じでイベントが続く。
「鉄は熱いうちに打て」と、さっそくHPに起草。鉄って、原子番号26にして元素記号はFe、「鉄は国家なり」と国力の物差しでした。
「たたらを踏む」、「付け焼刃」、「焼きが回る」、「相槌を打つ」や「焼きを入れる」等々。鉄由来の慣用句って結構あるね。
パンなんて焼いている場合じゃないよっ、男は黙って鉄を焼けってね。パンを焼くなら鉄を焼けって、有名な言葉無かったっけ?
銅像沢山な東京藝術大学。なんだか不思議な銅像。思わずパチリ。
まずはレンガでたたらを組み上げて築炉!たたらについては、こちらに詳しい解説
あり!(by日立金属)
今回は、どうにもギャラリーを外して撮影できなかったので、写真の一部を加工しての掲載(沢山加工、超めんどうだった~)。
たたら操業のメッカ、出雲からも取材あり。
というか、むしろ主催者側の立場かな。他にも2つ程、取材カメラあり。
レンガをくみ上げる。隅に積み上げる小さなレンガにするため、金槌で叩いてレンガを半分にする。
どんどん積み上げる。13段まで積み上げていく。
体験組は3グループに分かれて、たたら操業。
意外や意外、女性も多く、体験者にも女性参加者が。
アイテム、きちんと整列。
体験者に説明しつつなので、わりとゆっくり築炉。
たたら操業で用いる炭もばっちり準備されていた。たたら操業で使われる炭の量は沢山!
規模にもよるんだろうけど、実際のたたら操業による炭の使用料は10t以上にもなるという!
徐々に炉が築かれる。炉の口は2つ用意されている。風を送る鞴(ふいご)用のものとノロ排出用のもの。
ノロとは鉄の塊を作る際に生じる不純物。ところどころでノロを輩出して鉄となるケラを醸成していくのだ。
本日は3つの炉が築かれるが、1つは人力の鞴(ふいご)で残り2つは送風機を用いていた。
13段に積み上げられた炉。築炉完成だ。
炉に投入される炭。
炭が投入されて着火。先ずは炉内を乾燥させるために炭を満たしてガンガン燃す!
昔の地下掘り式の炉の場合、2か月もかけて周りの土を乾燥させたそうだ。
レンガ一杯の炭になると、ブロックを3段重ねて更に炭を投入!
メラメラ燃えている。ここからは、炭と砂鉄が20分おき位に定量投入される。
と、反復作業が繰り返されるだけっぽかったので、一時現場を後にして辺りを散策。
作品の材料だろうか、丸太がゴロゴロ。そして、これは作品か?
あちこちにある銅像。やたらメカニックな土台だよっ!
『うぉっ!』と隊員Bが声を出す方向を見ると、迫力ある作品が!あれ間近で見たい!
高さ3mはあろうかという、巨大な作品。あれって、学生が作ったもの???
良い感じの街灯にレンガ建物。
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大学を出て
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昼食がてら、辺りを散策。谷中エリアへと。なんだかマラッカのババ・ニョニャ・ヘリテージを思い出した。
いや、その名前は出なかったけど、「マラッカのあれあれ」てな感じ。で、このお店は絵画修復屋さん(渋いっ)。
良い感じのカフェが、あちらこちらと。
こちらは和菓子屋さん。
で、台湾の愛玉子を供するカフェ。台湾の夜市が懐かしい(愛玉子は結局食べてないけど)。
宮島達男のギャラリーみたい。銭湯の跡地を利用だな。
可愛らしい画が描かれている。
谷中をぶらぶらして、再び東京藝術大学へと戻って来た。
着々と炭と砂鉄が投入されているぞ。
鞴の送風用穴は覗けるようになっていて、サラサラと流れる砂鉄が見える時があるらしいんだけど、明る過ぎて目がっ!
たたら操業を統括する村下(むらげ)は、火を見つめる作業がたたって、いずれは目をやられてしまうという(怖っ!)。
こちらは人力で無く、送風機を用いたたたら操業組。
で、こちらは人力の鞴(ふいご)。不思議なことに、送風機を用いるよりも人力鞴の方が良い鉄ができるとのこと。
ある程度、強弱をつけた方がメリハリあって、鉄の生成に良い働きをするのかな。
鞴を踏む人は番子と呼ばれ、察しのとおり「代わり番子」の語源。そして、たたら操業は火を入れると70時間も続き、
番子は交替で実施すると言っても、その作業は言わずもがなで大変な重労働であった。
レンガの隙間より、燃える炎の明かりがちらちらと。
お昼になって、けっこうまったりしてきた。
暇だったので、東京藝大大学美術館で開催されていた「尊厳の芸術展」とやらへ。
地下にある美術館。こんな回廊をテクテク下る(痛めた膝が痛いっ!)。
作品を見終えて、上の階にある休憩部屋へと。
見晴らし良く、ゆったりできるスペース!早起きもあって眠くて疲れたし、誰もいないのでゴロゴロ休憩。
で、ぼちぼちと、たたら操業へ戻ってくると、ノロが排出されていた。
ノロの排出風景、鉄造り感ぷんぷん、良いね~。
ノロは砂鉄に含まれる不純物や炉壁内部が混ざったものなので、ほとんど鉄はないけど、
多少は含まれているらしく、金槌で砕いて、磁石でその存在をチェック。
手も空く時間帯と言うことで(?)、インタビューも実施。
そうこう、たらたらとノロ排出!燃え上がる、その色って良いね。
あー、鉄工所の見学に行きたいよっ。巨大な溶鉱炉から鉄が流れ落ちる様や、
黄金色に燃え盛る圧延版がローラーの上をハイテク制御で加工される様は迫力物だよっ!
ノロ排出口をふさいで、再びケラ醸成へと。
ケラ醸成の為、炭と砂鉄を投入。
隣の炉は投入作業を終えて、藁を乗せていた。藁を乗せるのは昔ながらの風習だそうな。
何だか、この光景にネパールのパシュパティナートを思い出したよ。あれは遺体の上に藁を乗せて
燃やしていたなぁ。
パシュパティナートの火葬はさておき、こちらの人力鞴の炉も徐々に解体モード。
鞴の具合で炎が強弱付けて燃え盛る。
こちらの炉もブロックが全て外された。
そして、レンガも解体。赤く変色したレンガ、熱そう!
根気よく、炭と砂鉄を投入の結果。総量は炭が31.5kgに砂鉄23kg!
どんどんレンガを解体、最終形態へと。
パチパチ音がするとのこと。
では、ケラの取り出し!
まだ、ドロドロしているということで、水をかける。
サントリーの白州蒸留所で見た樽の再生、リチャーを思い出したよ。
熱くたぎる重いケラを取り出す。皆撮影モード。
ケラを水を張った樽の中へと。
一瞬にして水が沸騰し始める!
残りの炭で焼き芋づくり!
ケラを叩いて鉄の選別。
ゴンゴンと金槌で砕く。
大体2kgくらいか?で、終盤に差し掛かると、ぽつりぽつりと予報通りの雨が降り出した。
そろそろ潮時かなと、焼き芋に後ろ髪引かれながら、たたら操業見学を後にするのであった。
帰り途中、メトロポリタン「大地、海、空4000年の美への旅」へと寄ってみる。相変わらず、美術品は良く分からなかったけど・・・。
ゴッホの『糸杉』は、さすがに存在感ある絵であった。もちっと感受性があればビビッと何か感じるものがあるに違いない作品だよ。
良い感じに建物が写りこんだ球体物。
途中のエスカレーターも良い感じ!
もらったパンフレット。中には、たたらメッカの日刀保たたらの案内資料も。
日刀保たたらは島根県に位置している。島根県・・・、行けんわなっ!
朝イチから訪れてしまった、たたら操業見学@東京藝術大学。その時間は9:00~16:00と長丁場。
途中、まったり時間もあるので、よほどの鉄マニアでない限り、その間は校内の美術館や谷中散策をススメする。
たたら操業で造り出した鉄から、ほんの少しの玉鋼が取り出されて、これが全国の刀職人へと配られるんだな。
日刀保たたらで造り出された玉鋼を追って、次回は鍛冶場の見学へと行きたいなぁ~。