鑑賞のススメ ファーレ立川(パビリックアート)

パビリックアートの街、「立川」。いつか訪問しておかなければ、と言うことで、密かに訪問計画考えていたところ。
運良く、「ファーレ立川巡りツアー」なるものを発見!という訳で、行くっきゃないでしょ。参加ですよと「送信」!

JR立川駅の北口に位置するファーレ立川の数ブロックエリアが、パビリックアート配置するところ(立川アート)。
北川フラムを監修者として、36ヵ国92人のアーティストによる109点の作品が立ち並ぶ。いや、街の中に点在する。
点在する作品によっては見つけ出すのが困難にして、目に留まっても作品だと気付かない場合も???
そして、コンセプトの1つとしてキャプションを記さないことにしているので、更に???な感じです(個人活動は困難必定)。
1994年10月13日にオープンしたので、今年は20年目の節目。放置プレイとなっていたので、汚れの目立つ作品もちらほら。
「3.11」を境に照明を停めてしまった作品もあったりするのだけれど、20年目の節目と言うことで、何かを検討中だそうです。


という訳で、立川へとやって来た。実は、さっきの江戸東京たてもの園の続きなので、既にクタクタ状態・・・。


Ena-1/スティーヴン・アントナコス (ギリシャ/アメリカ)
立川駅から連絡路を歩くと、途中から現れる照明の作品。


現在は照明が停止されているそうです。誰かが『雨の日に使えない屋根かと思ってましたよ~』と。


セルタイプス、オーガネル、オーガニズム/トニー・クラッグ (イギリス)
通路右手のビル壁に3つの作品。これは、何かの作品と分かるものだよね。


こんな感じで大きな枠品が陳列。最初のインスピレーションが、「重そうだな」と。


風の吹く場所/田中信太郎(日本)
室内の美術館と違って、パビリックアートは外に置かれているもの。風が吹くと微妙に揺れるよう、意識した作品だそうです。
美術館におかれる作品では決して思いつくことのない、その意識。パビリックアートならではの発想による作品。


言われなければ分からない、あちこちに点在、いや線在するこの黒い線。


背中あわせの円/フェリーチェ・ヴァリーニ(スイス)
離れて、ある一点に位置すると『おぉ~!』。


関係-未来・2132年、関係-未来・2116年、関係-未来・2089年/河口龍夫 (日本)
これもパビリックアートを意識した作品(言われないと見つけられない!)。未来の幹の太さがこの位になるだろうと鉄枠が置かれている。
ちなみに、3本あった木のうち、1本が先日にポッキリと逝ってしまったそうな・・・。まさか、そこまでは想定できなかったでしょうね。


黄色の種類/岡本敦生 (日本)
もぐらでも出てきているのかな?と感じました。


無題/タデウス・ミスロウスキー (ポーランド)
むき出しのH鋼かと思いましたわさ。


無題/ゲオルギー・チャプカノフ (ブルガリア)
農具で造られたワンちゃんです。


無題/伊藤 誠(日本)
階段の下かつ排気口と言う暗いイメージの場所に、ポップな色の作品を置いたとのこと。


このとおりにも作品があるというけれど・・・。


トンボヒコーキのメッセージ/長澤伸穂(日本)
自然あふれる立川が米軍飛行機場になってしまったという、皮肉を込めて蜻蛉から飛行機へと遷移を見せている。
キャプションを入れないといコンセプトに反して、キャプションを入れてしまった、いくつかの作品の1つ(コンセプトに反するって凄いよね)。


タチカワの女たち/エステル・アルバルダネ(スペイン)
3つの配色がトレードマークの作品。北川さんと言えば、エステルてな感じだそうです。


こちらの公園にある作品はファーレ立川のものとは別のもの。
でも、立川がアートに力を入れようと、作品を配置したのかな。


無題/マーティン・プーリエ (アメリカ)
近所の子供たちが利用しておりました。


水瓶/チャールズ・ウォーゼン(アメリカ)
生垣をかき分けて、出てきたのがこちらの作品!誰も見つけられんわなっ!


無題/ジャウメ・プレンサ (スペイン)
存在感ある作品。


こちらは作品ではないけれど、ビルのオーナーがアートの立川に共感得て、ちょっとお遊び。
目の錯覚でちょっと斜めってる?と感じてしまうけど、実は平行な窓枠と言うもの。


無題/フェリックス・ゴンザレス=トレス (キューバ)
これ、マジ、作品ですか!? どこか企業が広告を掲載で依頼に来るかもしれんぞ。いや、あんなところ、なかなか気付きませんわ。


無題/フランシスコ・インファンテ (ロシア)
こちらの模様は鏡に映ったもの。磨きこまれてて、よくメンテナスされた作品でした(ビル管理者がメンテ?)。


無題/江上計太 (日本)
こちらも排気口に設置された作品。


遡洄する大木/西 雅秋 (日本)
横たわっておりました。


偶像/ジョゼ・デ・ギマランイス (ポルトガル)
特に解説なく、スルーでした…。


この通りの車止めは若手に任せて『つくってみなはれ』的に依頼したそうな。


数々の作品が並ぶ。


最右:都市の神/ロベルト・G・ヴィラヌエヴァ (フィリピン)
一番右のものは、道祖神的なものが格納されているという。毎年10月13日に御開帳されるのだとか!
HPの作品紹介を見たら・・・、両性具有の神様ですか!こんなものが御開帳とは、驚きものですね。


無題/レベッカ・ベルモア (カナダ)
こちらの作品は対応する作品があるという・・・。


ふぉっ!?とビルの壁に対応する作品が!新任ビル警備員だったら『何じゃこりゃ!?』だよ。


無題/ヴィト・アコンチ(アメリカ)
インパクトある作品。見た目に反して安定感あり?しっかりと座ることできますよ。


無題/ナディム・カラム(レバノン)
子供が指差して喜びそうな作品だな。


無題/大岩オスカール幸男(ブラジル)
マンホール素材で作った三葉虫。街中に、こういった作品あると良いよねっ。個人的にこういう作品好きです。


無題/トニー・バーラント(アメリカ)
暗い場所に置かれるこの作品は、洞窟内の壁画をイメージして作られたものだとか。


無題/柳 健司 (日本)
ビルとビルの間をはいめぐらされる赤い鉄骨(?)。材料費がかかってそうだなーと思ってしまったよ。


ガラガラヘビ星と7つの方位/ジミー・ダーハム (アメリカ)
アメリカの先住民チェロキーが概念として持つ東、西、南、北、上、下、内面へ、という7つの方角を意味しているそうです。


無題/ゲオルギー・チャプカノフ (ブルガリア)
農具で作り上げた作品、その2。


ウォーターマーク(水標)/PHスタジオ(日本)
消火栓設備にあるのは、マリモですよ。マリモときましたかっ。


リップスティック/クレス・オルデンバーグ (スウェーデン/アメリカ)
20年前には、若手だった人が今ではビッグになっていることも。オルデンバーグもその1人で、彼の荒削りな初期の作品だそうです。
こんな有名芸術家の作品が野ざらしで、かつ、こんな荒削りな初期の作品が見られるのは貴重だそうな。


人間肘掛け椅子/パトリック・ヴィレール (ハイチ)
王座だそうです。座るには生垣を越えて、気合のジャンプが必要です。


Stack in Frame/國安孝昌 (日本)
こちらもパビリックアートを意識して、時間とともに草木が作品を覆っていくさまを考えて作った作品だそうです。


対話のボラード/関根伸夫 (日本)
もの派を代表する関根伸夫。その考えが受け入れられた時代背景、美術史を知ってなるほどねーと。


向こうに見えるのは・・・。


無題/ドナルド・ジャッド(アメリカ)
シンプルに時間をかけずに作品を作ろうとしたドナルド・ジャッドは、今でいうファブレスによって作品を生み出していた。
簡単な設計を元に、後はよろしく頼みますわ、と製作を行うという斬新な活動をしておられました。


こんな風に設置された作品。この作品完成前(製作前)に亡くなってしまって、最後の遺作となりました。
異彩な芸術家の最後の遺作と言うことで、アメリカの学芸員さんが、わざわざ見に来ることもあるとか。
そして、こんな所に置いてある作品を見て『Oh~! No~!』なんて首を振っているんでしょうか。


『あれ?』っと誰かが口にする。


ちょうどこの辺に立ってみると。


屋上の円/フェリーチェ・ヴァリーニ(スイス)
あぁ~真円になったよ! これってビルの清掃員や管理者って、なんだか変な赤の線が入ってるなーくらいにしか思わないよね。


顔-車/スタシス・エイドリゲヴィチウス(リトアニア/ポーランド)
駐車場前の作品だけに、上部が車のデザインですわ。


無題/江上計太 (日本)
一人で巡っていたら、絶対に気付くことのできない作品。ものに気付いても、作品と気付けないな…。


最後の買い物/タン・ダ・ウ(シンガポール)
こちらも排気口におかれた作品。


古典的な交信機器、伝声管/牛嶋達治(日本)
こちらもパビリックアートだからこそ、成し遂げられる作品。街を通り抜ける風が音を生み出す、そして、それを体験できるアート。


バーコード・ブリッジ/坂口寛敏(日本)
当初の建築予算のままで作品を仕上げてしまった、作品としての製作費¥0のもので、資本主義の象徴ともいえるバーコードを生み出した。


会話/ニキ・ド・サンファル (フランス)
元モデルのニキ・ド・サンファル。初期のころは銃で撃ち抜いたりと過激な作品が多かったけど、今は多色使いな作品を仕上げる人に。
そいえば、直島にも彼女の作品があったなー。インパクトある作品ですよね。


無題/マーティン・キッペンベルガー (ドイツ)
サンタクロースを意味しているそうです。


途中、お茶して休憩。えっと、どこかの本屋でのみ買えるというファーレ立川アートマップです。


無題/岡崎乾二郎 (日本)
コンピューターを使って設計した作品で、当時は「おぉ~」的なものであったけれど、今のコンピューターと比較しちゃうと・・・。
コンピューターの進歩は凄いもの、20年ともなれば雲泥の差でしょうからね。飯田橋@大江戸線の緑パイプを思い出したよ。


無題/ジャン=ピエール・レイノー (フランス)
人々の待ち合わせで使えるようにと目立つものを意図したそうです。


自転車もどきVI/ロバート・ラウシェンバーグ(アメリカ)
彼は2つのものを組み合わせて、「やっぱり意味がなかった」という作品を作るそうな。
それを北川さんが駐輪場の入り口に置くことで、意味ある作品に変えてしまったというエピソード。
ファーレ立川では、『どこそこに置く作品をお願いします』と製作を依頼していたが、こちらの作品だけは購入もの。


無題/サンデー・ジャック・アクパン (ナイジェリア)
彼は芸術家と言うよりも職人さんだとか。ナイジェリアでは自分の肖像を作る風習があるそうな。


無題/リチャード・ウィルソン(イギリス)
地下にある排気口ながら、人を上へ注意を促すようになっているという作品。
(無意味な階段を)登る人が多いそうで、登り止めが後から設置されたそうだ。


Luna/宮島達男 (日本)
デジタル数字と言ったら宮島。宮島と言ったらデジタル数字。あちこちで宮島さんのデジタル数字みかけますわ。


奥:石鐘の庭/モンティエン・ブンマー(タイ)、 手前:無題/青木野枝 (日本)
奥にある鐘で造られたものは、実際に中に入ることもできるそうですが、ビルの敷地内にあるので・・・。
ボロブドゥールのストゥーパを想起しましたよ。手前のものは、なんでしょうかね。遠目に見ると何物なのやら???


ブリーフケースをもった男/ジョナサン・ボロフスキー(アメリカ)
モノレールから見られることを意識して作った巨大作品。彼は全てのものにナンバリングをして(それは電話中にメモしたものまで!)、
その結果、この作品の右下には7桁の数字が並ぶことに。20年前で7桁だから、今ではどれほどに!?ってか、それって病的じゃね?
そして、初台にあるあの作品もジョナサン・ボロフスキーでしたか!今気付いたよ!


この通りにも、いくつかの作品が並んでいるという。


無題/ウルリッヒ・リュックリーム(ドイツ)
パビリックアートの負の部分が出てしまった作品。元々は単に石積みした作品だったけれども、公共の場だけに安全性を考慮して
石と石を繋ぎ止めてしまったという。作品の本質を壊してしまったもの。美術館にあれば問題ないけど、公共の場ですからね。


無題/川俣 正(日本)
工事の用具置き場と思ってしまったよ。


耳の椅子/藤本由紀夫(日本)
腰かけると街の音が聞こえてきます。


山/アニッシュ・カプーア(インド/イギリス)
山ですね。


無題/イーエフペー (フランス)
日が暮れた空に青空。傘の裏側に青空描かれているやつを思い出しました。


ダブルベンチ/アレシュ・ヴェゼリー(チェコ共和国)
100回近くも作品の細かい部分を検討したそうです。


人の球による空間ゲート/箕原 真(日本)
見えない球体が置いてあります。


ジャガイモを収穫する人/パブロ・レイノソ(アルゼンチン)
スプーンだそうです。子供に食事を与える際、死の床についた父に食事を与える際に登場する物だそうです。


ケンタウルス・モーターサイクル/篠原有司男(日本)
オートバイにまたがったカエルのお化け(???)。気合で造った作品で、気合で作品を造る人だそうです。
そして、日本で最初にモヒカン刈りをした人でもあるそうな(気合入ってる!)。


きみはただここにすわっていて。ぼくが見張っていてあげるから/ホセイン・ヴァラマネシュ(イラン/オーストラリア)
暗くなって分かりにくいなー。これ、粗大ごみを置いてしまってるよと思っている人が絶対にいる!


禅庭のためのエネルギー・バロメーター/レベッカ・ホーン(ドイツ)
松と金属棒とじょうごが連環し、大地と水と植物を自然のエネルギーが循環するそうです。


黒い竜-家族用/マリーナ・アブラモヴィッチ(旧ユーゴスラビア)
ブラジル産の水晶を体に当てて瞑想するそうです。HPの作品紹介を読んでみて・・・、腰の部分をそう表現しますか(笑)。
そして、一見ボルダリング壁のように見えるかもしれないけれど、ここでボルダリングをしてはいけませんっ!


無題/ゲオルギー・チャプカノフ (ブルガリア)
羊バージョンですね。


赤い作品“母と子を殺した父親のようなもの”、青い作品“父親に殺された子を受精させた父親のようなもの”/彦坂尚嘉 (日本)
暗くて良く分からなかったなー。HPの作品詳細を見てみたけど、更に分からなくなったー。


よくあること。「これも作品か!?」と。いやいや、単に、企業のディスプレイものでした。


呪文、ノエマのために(テキスト:石牟礼道子「椿の海の記」、ジェームズ・ジョイス「若い芸術家の肖像」)/ジョゼフ・コスース(アメリカ)
絶対に気付きませんわ~、この作品。


標的の裏側/ニュウポ (中国)
パロディ作品だそうです。元となる作品コンセプトを知っていないと、意味を理解できない作品ですね(もち理解できず)。


牛波/ニュウポ (中国)
こちらもパロディ作品とのこと(同じく理解できず)。


倒れた人/ウスマン・ソウ (セネガル)
タバコを吸う人が作品の一部となっておるわ~。


無題/白川昌生 (日本)
暗くて判別不可!右と左に、この駐車場を上から見た様子のパネルあり。


背中あわせの円/フェリーチェ・ヴァリーニ(スイス)
ここにもあった! たまたま通りかかったおばちゃんが、『あらま、こんなものがあったのね』と。


Tachikawa Box/山口啓介(日本)
ファーレ立川の地図をおこしてみましたとさ。


自然は微笑まず、人は微笑む/メナシェ・カディシュマン (イスラエル)
もう暗くなってしまって、良く分からなかった作品。今、HPの作品紹介を見て、こんなものだったのねと。

全部の作品を見回ったわけではないけれど、写真に収めたものはキャプション作ってみた。
これが、これが、結構大変な作業であった~。
そして、109個全ての作品を見廻ることができなかったけど、大量の作品がありました。
電車代だけで、これだけ多くの作品に触れ会えるファーレ立川。美術館に行っても100個越えの作品は無いでしょう!
さて、金曜日に急きょ降って来て、週明けに使用するという資料作成の為(怒)、これから出社しなければ・・・。