鑑賞のススメ アートイベント「TOKYO 2021」@TODA BUILDING → 椅子の神様 宮本茂紀の仕事@LIXILギャラリー

 
八丁堀で用事があって出かけた帰りに、テクテク歩いて東京駅までやって来た次第。このまま有楽町に向かってビックカメラで買い物して帰ろうかなと思いつつ、続けてテクテクしていると、おやっと。何かやっているみたいだね。


 
ちらっと覗いてみたら、無料のイベントでしたよ。題して『TOKYO 2021』 で、戸田建設初のアートイベントだそうだ。ネットで調べてみたら、下記の記載が戸田建設のHPにあり。


戸田建設(株)(社長:今井 雅則)は、2019年8月から10月の約3ヵ月にわたり、当社として初めてのアートイベントを開催します。

2019年12月に現在の社屋の解体を開始し、2024年に(仮称)新TODAビルが完成する予定ですが、新しいビルには、アートをはじめとするクリエイティビティを育み、発信する場が誕生します。再び京橋に新たな芸術文化施設とともに戻ってくることを宣言し、街から期待される再生を果たすためにも、現在のビルが解体され一旦姿を消すその前に、アートイベントを開催することとしました。

イベント名は「TOKYO 2021」。戸田建設が若手アーティストや建築家と組んで手掛ける初めてのアートイベントであり、当社として完成までの全てのプロセスから学び、未来に対して何ができるかを考え、昇華させていくための必要不可欠な通過点と位置付けています。

この2021年は当社にとって創業140周年を迎える年であり、かつ、長らく京橋の地で社業を営んできた社屋が2024年に完成する新社屋にその役割を繋いでゆく節目の年でもあります。アートイベントのテーマを通して、自らのルーツである建築・土木を見つめ直す機会になるとも考えており、多くの方にご覧いただけることを願っております。



 
檜皮一彦『hiwadorome: type THE END spec5CODE : invisible circus』
入口の正面に置かれた作品は、岡本太郎の太陽の塔にある太陽の顔。ひしと正面を向く顔は存在感ありありだよ。良く知らんかったけれど、太陽の顔は過去、現在、未来のうち現在を意味しているんだってね。この作品は何を意味してるんかな?



山内祥太『Lonely eyes』
こちらは、バーチャルリアリティーで銃を持っているところから、何か戦闘モノなのかな。足元の円盤状の凹みを活かして、歩く動作を上手く処理していましたよ。どんなもんだか体験してみたかったけれど、予約制っぽくて断念。


ところで、今知った↓この事実(笑)。会場は2つあったんか~い(1つしか観てないよ)。とりあえず、前情報何もなく、からっぽの状況で作品に触れてみますわ~てな感じで鑑賞なのでした。ちなみに、自分が鑑賞したのはSiteBだったみたい。

TOKYO 2021へのご来場には、WEBからの事前登録が必要です。
下記の内容をご確認いただき、Peatixより事前にチケットのお申込み(無料)をお願いいたします。
※展覧会は2会場で開催されており、うち1つは事前登録なくご覧頂けます。
SiteA「災害の国」とSiteB「祝祭の国」の2会場に別れています。SiteAは会場ビルの日本橋方面、SiteB会場ビルの銀座方面になります。事前登録が必要なのはSiteBになります。


  
外観は急きょこしらえた的な感じで、内部はDJブースの様な。何か映像が流れてますね…。解体工事?災害後の解体作業なのかな?


 
左:コトブキ大阪万博のベンチ、 右:キュンチョメ『日陰の太陽』『行方不明の太陽』
ベンチも作品なのかな? 右側写真にあるテレビは何かを映し出してました。実は、この時それほど体調が良くもなく…。先日に体調不良でダウン。病み上がりだったのである(それなのに、お出掛けして、えっちらおっちら歩いてきてしまったよ)。なので、じっくりと作品を観るというよりも、最初のインスピレーションを感じて観て廻った次第。


  
弓指寛治『黒い盆踊り』
赤ではなく黒っぽくして、あえて薄暗くした(?)感じの提灯に踊る人々。なぜだか、幕末の「ええじゃないか」を思い出しましたよ。



奥まで行って振り返ってみると、あらま、こんな感じでモノトーン調に。モノトーン調が、なんだか、空襲後の様子を思い起こさせました。この時読んでいた小説が、ちょうど戦後の復興期の頃を書いていて、被爆者なんかも出てきていたからかな。



弓指寛治「白い馬」
こちらの絵はインパクトある作品でした。勇ましい立ち居振る舞いながら、何かに身体を犯されているかのような。最後の気力を振り絞っているかのような、そんな感じでしたよ。



藤本明『幻爆』
これまた別の意味で存在感ある作品。その大きさと材質、明かりを放っているところと、それによって生じている影から存在感あったよ。タイトル、こんなんだったんだね。


 
藤元明『2026』
壁にどどーんとくりぬかれた「2026」の数字。イベント名が「2021」だから、西暦を意味しているんだよね?と。その隣の廃墟的な部屋には、廃棄物が山と積まれてましたよ。こちらの作品はなんだったかな。


 
蛇腹の垂直マシーン(なんて言うんだ、これ)の上には、ジェンガが置かれてましたよ。むむむむ、これが意味するものは? 不安定なモノの上にバランスを要するもの、であってるかな?


 
こちらも…。なかなか理解が難しいですわ。


  
~破壊と祝祭のイメージ~ Houxu Que『茶室』 宮下サトシ『器』
こちらも…。とりあえず、理解できたことは、土足でもOK!ということ(ずかずか)。


  
落ち着かない和室で、落ち着かない床の間だよ。目を引くマンホールを見かけたのだけれど、題して「液状化の塔」と来ましたかっ。これは現実で見たくないものだな~としみじみ。なんだか、落ち着かない床の間なので、早々に退散。


 
最後は、主催する戸田建設の紹介。こちらの建物を取り壊して新しく社屋を建設する合間のイベントなんだね。最初に会った開設のとおり2023年に新社屋が完成するんだとか。



  
会場を出て、テクテク有楽町方面へと。ん?と見かけた429(しずく)カフェとやら。ハイソな感じがするカフェですわ。


 
さらにテクテク、LIXILギャラリーにて興味深い展示あり。「椅子の神様 宮本茂紀の仕事」ですか。身体が少々だるかったけれど、寄ってみることにした。


椅子の神様 宮本茂紀の仕事
 ・東京:2019.09.05(Thu)~11.23(Sat)
 ・大阪:2019.06.07(Fri)~08.20(Tue)


  
写真撮影は、一部を除きOKみたいだったのでパチリ。


2019年4月に発表されたばかりの佐藤卓氏デザインのソファ「SPRING」を試作品とともに紹介します。自然素材と伝統技術に拘った数年越しの企画で、カバーは初めて使用する鹿革張り。佐藤氏いわく、宮本さんの職人技を主役にした1脚です。その他、プロダクトデザイナーの梅田正徳氏の「月苑」、ザハ・ハディドの「Fluffy chair (フラッフィ-チェア)」(試作)の実資料をそれぞれ制作の背景とあわせて紹介します。


 
こちらも、お高そうな椅子が、ずら~っと。ところで、左写真の奥にある、背もたれが曲線の椅子、写真にちゃんと納めてないのが残念なんだけれども、パッと見で竹製のモノに見えるのだけれども、なんとなんとで木製なんだとか。木製に節を付けて竹っぽくして、なおかつ蒔絵を施しているんだとか。ほえぇぇ~、迎賓館ってば、なんて酔狂なことしているんでしょう。


<修復の経験から日本の洋家具の変遷を知る>
宮本さんは徒弟時代から、修復の仕事を多くしてきました。高い技術を買われて迎賓館の改修工事(昭和49年落成)のような大仕事も経験します。このような経験から宮本さんは日本の洋家具草創期から今日に至る椅子作りの変遷にも精通するようになります。修復事例として、明治村から依頼された「竹塗蒔絵小椅子」を実資料で紹介します。進駐軍によって上からペンキが塗られたことが分かった一脚です。


  
こちらは、随分と低い椅子が置いてあるぞよと。説明によると↓ですよ。「座り心地をお試しください」とあるので、座ってみましたよ。どれ、よっこらしょと、ん?あ?良いわ~! こんな椅子を自宅に置いて、ぼ~っとしたり、読書することが出来たら幸せじゃぞと、この椅子がある生活を妄想しましたよ。


<座り心地を追求する ―マイチェアの誕生>
これは「合う椅子がない」という小柄な奥様の一言がきっかけで生まれた椅子です。それぞれの体格に合うサイズで、その人なりの座り心地が追求された椅子は生産システムも計画されました。サイズは4段階、クッションにはスプリングと馬の毛や植物の繊維などの天然素材が使われています。カバーの布地も取り替えられる、まさに「マイチェア」。会場では身長170cmの人用のLサイズを1脚展示します。座り心地をお試しください。


椅子の展示と説明書きを読んでいて、ほほぉ~と思ったこと。これだけの高級素材が使われた椅子の数々を修復してきて、やはり昔のモノは良い!てな考えになるのかなと思ったのだけれど…。宮本さんはそんなことはなく、最近の素材でも良いものは良いと、積極的にウレタンを使用したりするそうな。過去にとらわれず、温故知新、柔軟な考えの人なんだな、と思いましたわ~(柔軟思想、見習いたいですよ)。


病み上がりながら、程良い散歩しちゃったよ。戸田建設の社屋で開催されていた「TOKYO 2021」とLIXILギャラリーで開催されていた「椅子の神様 宮本茂紀の仕事」。どちらも興味深くてワクワクの鑑賞でしたよ。おかげさまで気分リフレッシュ、病み上がりにピリオド打って体調良くなりましたわ。翌日のクライミングはビシッと課題ルートを落とすことできましたっ(体調不良による体重減少と相まって)。