鑑賞のススメ 明治大学博物館


 
場所は御茶ノ水に位置する明治大学博物館。こちらの博物館の一部で拷問器具が展示されているとのこと。思えば、以前に『拷問全集』なる分厚い本を立ち読みしていて、その詳細な記述にイメージ膨らませて気分を悪くしたことがある。気分悪く、最後まで読めなかった拷問。こりは、リベンジもかねて行かねばなるまい(入場料無料だし)。※調子に乗って記述がちょっぴり生々しくなっているので、気分を害する人は写真のみだけ流し読みした方が良いと思われます。



久々にやってきた大学という所。



目指す場所は地下にあり。



エスカレーターに乗って、いざ!


さて、明治大学博物館の刑事部についてHPの説明を引用すると。

刑事部門は、建学の理念「権利自由」にもとづき、刑事関係資料を展示しています。「日本の罪と罰」では、歴史的な法のさまざまを時間の流れにそって展示しています。「江戸の捕者」「牢問と裁き」「さまざまな刑事博物」では、江戸の捕者具、日本や諸外国の拷問・処刑具など人権抑圧の歴史を語り伝える実物資料をご覧ください。とくにギロチン、ニュルンベルクの鉄の処女は、我が国唯一の展示資料です。このような刑事博物をとおして、罪と罰の世界にふれるとともに、人権の尊重に一層ご理解を深めていただければ幸いです。


 
最初は江戸時代の捕物


 
こちらは十手。いろいろな所でお土産としても見かけるな、と。


 
こちらは捕縄。「四季に応じて色を使い分け?」とな。知らなかったよ、豆知識なり。『おい、暦が変ったから今日から赤に変えるぞ』なんて会話がされていたんだろうなぁ。でも、四季なのに何故に5色あるんだろなと思って調べてみたら、陰陽五行説に基づいて、春=青、夏=赤、秋=白、冬=黒、土用=土と使い分けていたみたい。


 
時代劇とか漫画で、その映像は良く見るけど「石抱責」と言うんだな。何かの本に、後遺症が残るので許可制の拷問と書いてあったような(骨が変形して歩行に支障をきたすとか)。特に座布団代りにひいている三角の木が良ろしくなく、長期間実施すると骨が変形して歩けなくなってしまうらしい。この膝に乗せた石をゆっさゆっさしながら拷問すると言うのだから恐ろしい。


 
ゆっさゆっさしている図。それと、縛り上げて吊るすための器具。



こちらは教科書にも出てくるキリシタン向けの踏絵。精神的拷問に分類されるもの。そういえば、ロシアの精神的拷問で無意味な土堀をさせると言うものを聞いたことがある。穴を掘って、それを又埋めさせるという全く持って無意味な作業を繰り返しさせると言うもの。人間て、無意味な作業を繰り返しさせられると気がおかしくなってしまうらしい。


拷問には肉体的拷問と精神的拷問に分けることができ、近代では証拠の残らない精神的拷問が多用されているとか。睡眠妨害とかも精神的拷問になるのかな。ちなみに、イラク戦争で捕虜となったアメリカ兵士がされていたのは水攻めの拷問だとか。これは逆さまに吊るした捕虜に水を大量に飲ませるというもの。すると、水を含んだ胃の重みで肺が圧迫されて凄く苦しいのだとか。これは外傷の残らない肉体的拷問・・・。


犯罪者に彫られた刺青の図柄。地域によって図柄は異なっていた。


  
こちらは「鋸引」。こちらも事前に予習した本によると(以前読んだ本の記憶)、あえて切れにくい鋸を使用することで、罪人に苦痛を与えたとか。使われる鋸も切れ味の落ちたものや竹製のものが使用されたと言う。


 
こちらは、さらし首の台座。首を固定する串もちゃんとある。今見ると、うげぇ~となってしまうけど、江戸時代だと今と違う受け止め方なのかな?今と違って、死というものがわりと身近なものだったと思うし。ゲッツ板谷の本で内戦のあったカンボジアでは、子供達が死体を棒でつついて遊んでいたと言う(ホンマかいな)。


 
お次は、磔と火刑の器具。
そういえば、薩摩で行われていたキリシタンへの火刑で蓑踊りと言うのがあったなぁとくだらないことを思い出してしまった。


 
高校の授業で歴史の先生が『磔で槍を突く時は、わきの下からやるんだ。そうすると骨に当たらずサクッと刺せる』と、これ又豆知識を授けてくれた。あのときが拷問についての最初の知識かな。拷問と言うか死刑だけど。拷問は出来るだけ長い苦痛を与えることを目的としているから、サクッと刺してしまうのは、やはり死刑なんだなと。西洋では(内臓を傷つけないよう)先のとがっていない棒で肛門から首横まで刺して貫通させながらも生きながらえさせていたと言う。例の立ち読みした全集によるとその状態で3日間生かされていた者もいると言う(思い出しで気分が悪くなってきた・・・)。



さて、左に曲がると目玉商品、もとい、西洋のインパクトある拷問器具が(こちらは苦痛を与える死刑道具だな)。



と、その前に日本の拷問器具を。


 
足に大・小の錘をつけたらしい。大は49kg!重すぎるぞ。



こちらは首吊りの器具。絞首刑というやつ。
こいつも絞首史みたいなものがあって、色々研究されて死刑囚が苦痛を味あわない高さ等がはじき出されたと言う。今の絞首刑は落下の衝撃で首を折るようにして処刑するそうだ。最適な高さがはじき出される前には、死刑囚が絞首の苦しさでなかなか絶命できなかったりして、係りの者が足を引っ張るといったことも行われていたと言う・・・。



こちらは貞操帯。十字軍遠征の際に用いられていたと言うが、定かでないらしい。十字軍遠征の兵士が親友に鍵を預けて船出しようとした際に、親友が『鍵が違うぞ!』と走りよってきたという笑い話があるとか。これも高校の先生の話。


  
こちらは中国の拷問。中国も4000年という歴史の中で色々な拷問を編み出していた。以前立ち読みした本にも色々と記述があったが、あまりにもえぐいのでここでは書かないでおく。



あまりにも有名なギロチン。マリーアントワネットの処刑で有名になったのかな。このギロチンも楽に処刑することを目的に研究して編み出されたもの。それまでは死刑執行人という職業の人が処刑を担当していた。国によっては死刑執行人の身分位置付けはかなり高いものであったと言う。


しかしながら、その死刑執行人の腕前いかんで処刑人の苦痛にブレが生じるとのことでギロチンがあみ出されたそうだ。日本でも介添え人の腕が悪いと、なんども首に刀を入れられてかなりむごい状態も多々あったという。特に戦国時代が終わって、人を切る経験が乏しい時代となると、そういった頻度も増えたそうだ(切る方も切られる方も最悪状態)。


フランスにおいてギロチンは、トビアス・シュミット社が独占して製造していたと言う。おもちゃも販売されていて、動物とかをギロチンして遊んでいたと言うから驚きだ。誤って指を切り落とす子供もいたんだろうなぁ。


 
こちらがインパクト大の鉄の処女。扉を閉めると鉄串でグッサリとやられてしまう仕組み。足元は扉があって、そのまま遺体を処理できたと言う。


 
博物館で見るとなんとも思わないけど、暗くジメジメした処刑場で見ると猛烈恐怖心が沸き起こるんだろうな。自白を強要させるために、この拷問器具(なのか?)を見させられた者は、その恐怖にブルって直ぐにゲロってしまったと言われているとか。実際にはハンガリーのエリザベータ・バートリなる貴族夫人が、老いを防ぐために若い女の子の血を絞り出して、それを満たした湯船に浸かるために使用されたと言う。


--- 考古部門 ---


久しぶり見た土偶。


 
耳栓とな?縄文時代に耳栓???



こちらも久々に見た銅鐸。


 
銅矛。ちなみに、以前に訪れた小田原の鈴廣カマボコつくりでの知識によると、カマボコの起源はこの時代まで溯るという。魚のすり身を矛に乗せて焼いていたのが語源だとか。



明治大学の博物館、無料でありながらかなり楽しめる場所だ。個人であれば写真撮影も問題ない。一応、入り口で写真撮影を確認したところ「どうぞどうぞ」と丁寧に応対してくれた。ちょいとマニアックな博物館ながら、無料で都内というロケーション。内容も充実しているし(マニアックだけれども)、ぷらりと訪れるには最適だ。