岡山(見学のススメ:進水式@玉野)



晴れ男パワーにて本日も快晴、岡山駅前の桃太郎像も気持ちよく迎えてくれる。



目指すは今回のメイン目的、宇野駅より5km程離れたところにある玉野は三井造船所!階段を下りていくと人気のないホーム。ゆったりと朝の電車で座って行けるのかなと思ったけど・・・。



ホーム中央を振り返ったら人がぎょうさんおるではないか。通学する学生に混じって宇野駅を目指す!



宇野駅前はこんな感じ。駅からはタクシーかなぁと思ったけど、4番ルートが目的の三井造船に行けるとのこと。駅前には不思議なオブジェが。宇野港より出ている直島の影響かな。宇野港は直島や犬島といったアートアイランドの入り口でもあるのだ。



バス停で本来降りるところを通り過ぎて三井造船で降りてしまった。見学場所はもっと手前で降りるべきであったらしい。さすが大きな造船所、向こうの入り口に行ってと言われてみたものの、その距離は長い!ってか、学校のグラウンド越しに見るクレーンがでかい!なんだか興奮してきたぞ。ちょいとDaily Portal Z風な記述になりそな気配・・・。



こちらが本来降りるべきであった玉橋なるバス停。



え~っと入り口はと左を振り返ると人がぎょうさん!並んでおるよ!列の後ろに並んでいると大型観光バスでやってくる、やってくる見学者が。主に年配者が多かったけれども若い人もチラホラ(平日だからね)。後は幼稚園生軍団が多数。幼いときから進水式見学だなんて、羨ましいぞ玉野市の幼稚園児よ!ちゃんとカメラは持ったのかな?ちびっ子諸君よ。



時間になってゲートが開かれ、工場敷地内に入るとドッバーンと大型クレーンが!ドパー!と脳内ドーパミンが一気に放出されて、自然と指がカメラのシャッターを押し始める。ってか、入場手続きとか注意事項の周知とか全く無しの、超ローカル的な一般解放!



くわぁ~!でかいよ!あの鋼板の大きさ、厚さってなんですかぁ~?まるで船か何か巨大な建造物の工場に居るようだよ、ってか造船所に来ているんだった。なんだか、興奮して何がなんだか。だって、この建物の屋根の高いこと、格納しているパーツだって、あんなにでかいのだから!モビルスーツかホワイトベースを建造しているといわれても、なんだか納得してしまう長大にして重厚さがそこにはある!そう、男のロマンである。



すげぇ、すげぇ。一人つぶやき続ける。この台詞って、アイスランドのとき以来だな・・・。ファインダー越しじゃ分からない景色がここにはあるよ!



太陽を背にしたあなたは美しい。



この興奮、言わずもがな。分かってもらえると思うけど、この景観で、ご飯5杯はいけそうな迫力だ。写真を見ても惚れ惚れするけど、実際に目の当たりにすると興奮倍増!



だって、こんなに大きなクレーンが車輪付きで動くんですから。



あれが本日、進水式を向かえる船だ。デッキにぽつんと人が居るので、グィーンとズーム。船、でかっ!今回の船は積載重量55500tの全長が189.99m、全幅32.25m、深さ18.10mという。それでいて乗組員はたったの24人なのだ。ちなみに全幅32.25mというのはパナマックスに当たる。パナマックスとはパナマ運河を渡れるギリギリのサイズで全長320.0m、全幅33.53m、深さ25.9mをいう。


船の建造の際にはこのサイズを念頭に入れており、パナマ運河を渡れないと大きく南米を迂回することになり、時間と燃料=お金のロスが大きくなってしまう。船体の大きさをクリアしても積載による喫水で通過できないものは、事前に一部の荷を降ろしてパナマ鉄道で運搬するという。パナマ運河、見たくなってきた・・・。しかし、パナマックスのサイズを通過する船長は気を使うだろうなぁ。ギリギリで入り込む、その光景見たいよ!見たいよね?ね?ね?


晴れ男パワーにてメチャ良い天気。あぁ、太陽を背にしたあなたは美しい。あ、これさっき言ったか。



ようやく本日進水する船の所までやってきた。



こちらは可動式クレーンのレール。向こうに見えるクレーンがこっちの方までガガガガと動いてくるんだな。ってことは、ここからクレーンまで約200mってところかな。



船台の下には作業員の駐輪所が。そりゃ、工場敷地内は広いですからな。



んで、こちらが本日使用される船首につけられたくす玉。



ここから見学するのかなぁと思っていたら、右手より船台に登って更に船のそばへと!



船台に乗ると巨大な船が浮いている!!!船のそばまで近寄っても、細かく注意されることなく、結構自由に見学できる。これがドスンと落ちてきたら、苦しむこともなく即死だね。



テクテク、船首のところまでやってきた。



こちらは建造される行程がパネル形式で説明されている。ちなみに、本日の船は起工が3月8日で進水式が6月11日、引渡し予定が8月23日とのこと。約3ヶ月で進水式ですか!?って、どんだけ工期が短いんだか・・・。工期の短さに驚きと、厳しい世界との受注競争に鍛えられたんだなとしみじみ思う。



隣の船台の様子。このでかいパーツが、これから接合されるんだよね。すげぇ~な。何ができるんだろうワクワク(船だけど)。別の場所で製作されたブロックを船台ですばやく組み立てて、進水させてから海上で内装工事などの艤装工事を行うという。こうすることで、建造を平行して進めることができるので、複数の注文を受け付けることができるのだ。船台での組み立てを如何に早くするかが決め手だとか、そのためにクレーンが巨大化しているのだそうな。



船首のところには関係者席が。船体に記載された喫水線の長いこと。荷物を積むとこれだけ沈むんだから・・・。余談だけど軍艦で、船のマニュアルを全て紙で積載すると、それだけで船が数cmだか数十cmだか沈んだとかいう話を聞いたことがある。恐るべしマニュアルの重量。さらに余談だけど、戦闘機のマニュアルを全て紙出力すると、戦闘機自体よりも重くなるとか。



船首より船をパチリ。あぁ太陽を背にしたあなたは美しい。あ、また言っちゃった。この船首の水中部分に当たるバルバス・バウ(赤いところの先端ね)が匠の技で作られた曲面なんだよね。って、もう自動化されているのかな?適切な喫水で航行する場合に、このバルバス・バウが有効に作用して波の抵抗を減らす。逆に適度な喫水を外れると航行効率が落ちてしまう。球面というよりもちょいと長めのバルバス・バウが、少ない積載や多い積載にも対応しているのかな?



とりあえず、パノラマにてクレーンと船のショット。



こちらは入場時にゲートで配布された本日のプログラム。



隣のクレーンがゴゴゴッ (音は自分で口ずさんでください)と移動する。



「開式の辞」→「花束贈呈」→「国家奏楽」と進めて「船名命名」だ。船名は「MAPLE ISLAND」だ。ババーンと今まで下ろされていた垂れ幕がめくれ上がって船名が露に。



この後進水作業の5段階で進められていく。緊張した静寂の中に、手順確認の笛の音がこだまする。ピピーッ!!(笛の音)、カシャーン(段階を確認するパネルを反転)てな感じで4段階までやって来た、ついに進水だ!パリーンやらバーンやら何か音がしたなと思ったら、くす玉が!



ゴゴゴゴゴーッという大きな音もなく船がすべり動く!!え!?え!?あ!?動いている???て思っていたら、くす玉からテープが。



正直興奮していて、音が耳に入ってこなかったのか、音もなく滑り降りたのか???



とりあえず、心の中で「ゴゴゴゴゴーッ、ザッブーン」と音を付け合せておいた。



完全に進水して、無事に完了だ。


ちなみに、進水方式には、今回のような縦方式と横方式がある。横方式の進水式だとザッブーンと船がゆらゆらするんだろうけど、そっちの進水式も見たいなぁ~。横方式の進水式は波をザッブーンと迫力満点だから、是非とも生で見てみたい!(興奮・驚き・スリリング・笑の動画はこちらにあり)縦方式と横方式では、実は横方式の方が安全度が高いという話を読んだことがある。縦方式の場合、海に浸かった部分と陸に残された部分で、その中間に大きな圧力がかかってしまう。最悪、そこでポッキリと折れてしまうんだそうだ。でも、横方式の場合、海岸のスペースを沢山占領してしまうから、広大な土地でないと複数の建造場所を確保するのが大変なのかな。


小型船が出てきた、船の向きを変えるのかな。進水を終えた後も、工程が控えていてまだまだ気が抜けないね。知らなかったけど、進水式にはダイバーが控えていて、進水で使用した機材を船から取り外したりするそうだ。



さっきまで巨大船があった場所。



大きなタコ焼き機みたいなものでコロコロ転がされていく。船台より進水させる方式としては写真のようなボール方式と油や石鹸等で滑らせるヘット方式があるそうだ。海洋汚染等を考えるとボール方式に分があるし、ヘット方式では季節の気温に対応して成分を調合する必要があるとのこと。



使い込まれているのが分かる、ソフトボール大の玉。右側は手順確認の為のパネル。



何かのストッパーに使用していた楔。



進水式を終えてガラ~ンと。この後も次の船のパーツが運び込まれて建造されるんだろうね。



進水式の興奮に浸りながら、その余韻がカメラのシャッターを押させる。



お次の進水式はこちらの船だな。また来るぞ~!(来られるかな)



巨大なパーツが屋根になってますよ。



工場を後にする際に、もう一度パチリ。いやぁ~良いものを見させてもらいました。かなり自由に見学できる三井造船所は玉野事業所、ありがとうございました~!ちなみに、余韻に浸ろうと調べていたところDaily Portal Zで面白い記事があったのでリンクしておく。