鑑賞のススメ ウルトラ植物博覧会2016@Pola Museum Annex



やってきましたポーラミュージアム。そう、ウルトラ植物博覧会2016を観に来ました。


ポーラの建物3Fにあがって。立派なパンフレットも頂けます。これだけでも面白いよっ。


会場、展示植物は、もち、撮影自由っす(ありがとう!)。


「そら植物園」のパネルが最初にお出迎え。


(非常に読みにくい字体で…)今までのプラントハンターの活動年表が記されてました。あ~、これ観たよ、とか。


No.2はスペイン、モロッコ産のQuercus suber(コルクガシ)
こちらに展示の一覧表がpdf形式で掲載されてました。そんな訳で説明をコピペさせてもらった。
会場はやや暗くて、パンフレット見ることできなかった植物もあるので、復習がてらのコピペなり。
※途中で変更あったのか配布パンフレットとpdfで番号ズレあり(番号はパンフレットのモノを使用)。

“ ワインという飲料 ” をここまで世界中に普及させた陰の立役者は、地中海などに自生するコルクガシに違いない。この木の樹皮が原材料になりコルク栓になるからである。また一度樹皮を剥いでも10年以内にまた完全に再生する、まさにサステナブルな有用樹であり、これは日本ではあまり見る事ができない貴重なコルクの生態標本である。



こちらNo.15のOpuntia galapageia(ガラパゴスウチワサボテン)
No.3が来るかと思いきや、会場では何故だか番号順不同の展示となっていた。

“ ガラパゴス島のイグアナ ” に葉っぱを食べられないよう、背を高くし、幹を持つことを覚えたウチワサボテンの一種。前年のウルトラ植物博覧会では白いトゲの品種を展示した。



玉ねぎの様な色合いのNo.? Platycerium bifurcatum ssp. Willinckii(コウモリラン ウイリンキー)
あれ?これパンフレットには掲載ないけどpdfにはあるぞと。

“ 代々木ヴィレッジ ” の庭ができたとき、屋外で巨大コウモリランを吊るしてある景色を見て、中くらいに植物に詳しい人たちはみな口を揃えて「これは冬に寒さで枯れてしまうよ」と言った。5年経ったいまも絶好調のコウモリランを見て、今ではその人たちは恥をかいているわけであるが、いずれにせよ、この耐寒性のあるコウモリランは、“ 植物の性質はインターネットの情報範囲だけで判断していけない ”、ということをさりげなく教えてくれている。



No.34のPrunus lannesiana sp.(南阿蘇の桜)
「南阿蘇村は『桜』日本一の村を」めざしています」とありました。

“ 東日本大震災から1年後 ”、JR 関連会社の依頼で箭内道彦氏らとともに企画し、日本全国47都道府県すべてから桜の枝を集め、一同に咲かせた前代未聞の復興支援プロジェクトの際に、熊本県代表として南阿蘇村役場から分けていただいた桜の接ぎ木苗。100年ほど前に植樹されたもので品種名はわかっていないがバラほどの大きな花を咲かせる。また、南阿蘇村は一心行の大桜が有名で、日本一の桜の村を目指し活動している。



No.4 Dicksonia anterctica(ソフトツリーファーン)
土もろとも根っこから持ち運んだようです(でかっ!)。

“ 生物多様性条約締約国会議 ”COP10 が名古屋で開かれた直後、会議に参加していたオーストラリア代表のメンバーがそら植物園本社を訪れたことがきっかけで取り扱うことになった、太古の植物。オーストラリア政府は開発にかかって伐採しないといけない個体などにのみ番号を打ち、輸出を許可している。4、5億年前に植物が川から陸上に上がってきた時、初めて巨大化に成功したのがこの木性シダの仲間である。



No.10 Satakentia liukiuensis(ヤエヤマヤシ)

“ 佐竹製作所 ”といえば日本を代表する金属部品会社であるが、二代目の佐竹利彦氏が世界的なヤシ研究者であったことは意外に知られていない。植物の学名は、ラテン語がベースになっているが、サタケンチャ・リュウキュウエンシスという学名の属名は、佐竹氏の功績に敬意を示して記載された。八重山諸島に自生する日本在来種のヤシである。

No.23 Phyllanthus mirabilis(フィランサス ミラビリス)

“ アサガオ ” が、なぜ朝寝坊しないかということについては、はつみみ植物園(東京書籍)に記したが、このフィランサスも夜になると葉を閉じて眠り、朝になると開く性質を持っている。ただし、アサガオとちがって朝寝坊したり、まだ夜になってないのに昼寝しているときもある。

No.14 Euphorbia echinus(大正キリン)

“ 毒を持っている” ことや、有用植物でないがゆえに、原産地では人為的にあまり栽培されないが、それゆえにこの植物の花から採れる無農薬の蜂蜜は非常に重宝されるという。モロッコの海辺に数百万本単位で群を成して自生する景色は、まさに浮世離れしているほど圧巻である。大正時代に日本に輸入されたので和名を大正キリンという。ちなみに昭和キリンという名前の植物も存在するが、平成キリンという名前の植物はない。



No.17 Operculicarya decaryi(オペルクリカリア デカリー)
マンドラゴラを思い出したよ。

“ ウルシ科随一 ” の成長の遅さを誇る塊根植物で、何百年単位で時間をかけて成長するという性質を念頭におくと、マダガスカル南西部の世界的に有名で貴重な “ 棘の森 ” にて10m ほどまで巨大に育ったこの塊根植物の上に登って見た景色は、一生モノであると確信できる。



No.12 Stephania venosa ‘Variegata’(斑入り 偽おっぱいプランツ)
解説に物語を入れて一工夫しているな~、と。

“ 食べたらおっぱいが大きくなる”というプエラリアという植物にそっくりな、偽おっぱいプランツの珍しい斑入り種。偽おっぱいプランツについてくわしくは、そらみみ植物園(東京書籍)まで。



No.27 Pyrrosia sp.(ピロシア 不明種)

“ 各国の植物収集家 ” たちは、常に互いに貴重植物の情報をやり取りし、時に売買やブツブツ交換をし、コレクションを増やしている。この白いシダは、Tという国の B という町のN という会社の S という植物収集家から10年ほど前にわけていただいた非常に変わった色をしたシダである。



No.11 Pseudobombax ellipticum(プセウドボンバックス エリプティカム)
亀の甲羅みたいだったな。

“ 偽物の綿 ”という意味のプセウドボンバックスという学名が付けられた由来は、まず、このようなパンヤ科の植物の実のなかにある繊維が、綿(ボンバックス)に似ているからであり、加えて本当の綿が穫れるアオイ科の植物とは違うという意味で、偽物(プセウド)、つまりプセウドボンバックスと名付けられたようである。南米の砂漠に自生し、姿を岩に似せる特性を持つ。

No.7 Tectona grandis(チーク)

“ 家具でよく使われるチーク ” は、材質が固く強健で水に強いことから船や建築材としても広く使われているが、実はシソ科の植物である。



こんな感じで網の仕切りに沿って植物展示。


No.30 Euphorbia obesa(ユーフォルビア オベサ)

“ 多肉植物マニア ” のなかでは根強い人気があり、人々がこのようなフォルムをした生ものに惹かれることを如実に物語っている。



上を見上げればNo.20 Ceropegia sandersonii(パラシュートプランツ)
不思議な形状の植物ですわ。高い所にあってブレブレ、上手く撮れんかった。

“ 別名アンブレラフラワー ”という見たまんまの英名と、酔竜というパッとしない和名を持つ。



No.13 Melocactus bahiensis(涼雲)

“ アンパンマン ” の顔が幼児たちを惹き付けてやまない理由として、あの真っ赤なお鼻を乳輪に見立て、顔がおっぱいを思わせる…という都市伝説があるが、もしかしたら、メロカクタスが私たち大人を惹き付けてやまない理由は、この真っ赤な花座が乳輪に似ているからかもしれない。



No.9 Pinus longaeva(イガゴヨウマツ)

“ 樹齢4700年 ”とも言われる木がかつて存在し、この地球上で最も長生きする生物といわれる松の、苗木。アメリカ人でも滅多に行く事のない、この地球上で最も過酷だというアメリカ・カリフォルニア州のデスバレー近くのホワイトマウンテンの高山地帯にひっそりと自生する。原産地で、樹齢1000年?4000年の樹々が織りなす風景と、大自然が創った彫刻のようなその姿は、目にするだけでただただ震えるほどである。



No.24 Philodendron verrucosum(フィロデンドロン ベルコーサム)
変な単語が文頭にあって、読解するのに時間かかってしまったよ。その単語、そこに置く?

“ フルチン ” で得体の知れない亀がいるとわかっているコスタリカの川を、恐る恐る一人飛び込んで対岸まで泳いで渡り、ようやくハンティングした珍種。通常のフィロデンドロン・ベルコーサムよりも色が立体的であることと、葉柄が毛深いというマニアックな特徴を持っている。



No.5 Ginkgo biloba var.(チチイチョウ)

“ おっぱい ” が垂れているような気根がでる、イチョウの変種。普通の銀杏に比べて異常に成長が遅い。周知の通り、イチョウにはオスとメスがあるが、大変残念なことは、この垂れた乳根はある程度樹齢に達した場合、雄株にも雌株にも出てくることである。



No.31 Ficus microcarpa(ガジュマル)
かなりの絡みつきっすね。

“ 絞め殺しの木 ”と呼ばれる一方で、風水上では幸せを運ぶ木として重宝される、ふたつの顔をもつガジュマル。こうみえてイチジクの仲間で、鳥などに実を食べてもらい種を運んでもらうことで分布を広げる。糞と一緒に運ばれた種は他の樹木や岩などに落ちても発芽・繁殖し、ついにはその対象物までを絞め殺してしまう、まさに生命力の固まりである。沖縄ではキジムナーが宿っていると言われる。



No.38 Sansevieria Ehrenbergii ‘Samurai Dwarf’(リトルサムライ)

“ 観葉植物史上最強 ” の耐久性をもった植物と思われる。おれが尊敬するオーストラリア人の先輩プラントハンターが、海賊を恐れずにソマリアに植物採集に行った際、見つけて導入したサンスベリアのサムライという品種の矮性種である。一年に10~15回ほどの水遣りで生きていけるため重宝される。ちなみに、リトルサムライとは愛称。



No.36 Adenium arabicum(砂漠のバラ)
丸々したフォルムが可愛い植物。建物1階の所にもたくさん置いてありました。

“ 情熱大陸 ” が密着していた2011年2月、ディレクターとともに旅したイエメンは、近隣の中東諸国と同じく緊張状態であった。エジプトで100万人規模のデモが発生、30年に渡ったムバラク大統領の政権が崩壊したちょうど2月11日に、滞在していたタイーズというちいさな村付近で出会い、心を奪われたのが、この砂漠のバラの素朴な花である。一輪の花を美しいと思えることは、なんて平和なことなのか、と教えてくれた恩人のような植物である。



No.41 Espostoa lanata(老楽)

“ ガンコ親父 ” は、年老いて個性が煮詰まるとややこしくなり扱いに困ることもあるが、この老楽は、その名の通り例え老いたとしても割と安楽な性格をしているので非常に育てやすい。エスポストア属のサボテンのなかでは一番付き合いやすい品種である。ただし、頭から水をかけてしまうと、急に機嫌が悪くなるので要注意。



No.16 Lophophora williamsii cristed(石化烏羽玉)
これが烏羽玉なるペヨーテか。生で見たの初めてだよ。と言っても亜種なのか。

“ 食べると幻覚を招く”といわれ、ウイチョル族やネイティブアメリカンたちにとって神の使者とされ神聖な存在であるウバ玉。本種は、そのウバ玉が突然変異し、成長点が異常発達する“石化 ”と言われる状態になったものである。



No.21 Kalanchoe synsepala(カランコエ シンセパーラ)
高い所にあって見えない~。

“ 歩く植物 ”といえば、日テレの「世界一受けたい授業」で紹介したウォーキングパームが有名だが、このカランコエも細い茎を伸ばし、遠くへ子孫を運びながら移動することから、「歩くカランコエ」と呼ばれる。



No.37 Echinocactus grusonii(短棘金鯱)

“ サボテンの中のサボテン ” であり、最も愛され、最も流通し、最も身近なサボテンといえる金鯱。この品種は、その金鯱の突然変異で、トゲが短くて痛くない珍しい変種である。



No.26 Ariocarpus retusus retusus monstrosa(村主モンストローサ)
見た目は植物に見えませんね。石でも置いてあるのかな、と。

“ 安産の寺 ”として全国的に名高い大本山・中山寺の大僧正、村主康瑞 ( すぐりこうずい )猊下は、実はおれがもっとも敬愛するプラントハンターであり、日本屈指のサボテン・多肉植物博士である。このアリオカルプスは、村主猊下の育種下で突然変異として生まれた珍種で、村主モンストローサと呼ばれる。



No.28 Echinocereus rigidissimus var. rubrispinus(紫太陽)
こんな説明の植物、奄美大島でも聞いたな…。あの植物は何だっけかな。

“ 男性にも女性にも ” 握りやすいようにできているのは偶然である。ただし、他のサボテンに比べて棘がやさしくて、握り心地は悪くない。

No.18 Aechmea brevicollis(エクメア ブレビコウリス)

“ ウルシ科随一 ” の成長の遅さを誇る塊根植物で、何百年単位で時間をかけて成長するという性質を念頭におくと、マダガスカル南西部の世界的に有名で貴重な “ 棘の森 ” にて10m ほどまで巨大に育ったこの塊根植物の上に登って見た景色は、一生モノであると確信できる。

No.29 Melaleuca quinquenervia(ニアウリ)

“ 世界で一番天国に近い島 ”と言われるニューカレドニアに社員旅行で行った際に入手した枝を、挿し木した苗木。化粧品で有名ないわゆるティーツリーオイルが採れるメラレウカの仲間だが、このニアウリの精油はそのなかでも貴重で、生きた苗は日本では滅多に見る事ができない。ちなみにメラレウカという学名は、メラ=黒、レウカ=白、つまり黒白の木という意味で、山火事が起きたときに見れる焦げた黒い幹と、普段の白い幹から名付けられた。と、現地の植物学者さんに教えてもらった。



No.6 Agonis flexuosa ‘Nana’(アゴニス フレクシオーサ ‘ ナナ ’)
説明読んで、本当すっか?

“ この葉に触った瞬間、必ず恋に落ちる ”ほど、心地よい香りを持つ植物である。今後日本のランドスケープに大きな影響を与えると予測している有望品種である。



No.34 Oreocereus celsionus(ライオン錦)

“ 極楽鳥花 ”と名付けられた、南アフリカ原産の植物があるが、実は極楽鳥はオーストラリアに生息する鳥で南アフリカには存在しない。そんな話と同様に、この、ライオン錦と名付けられたサボテンは、南米ボリビア原産で、もちろんライオンの故郷であるアフリカには自生しない。ちなみにアフリカなどにはトゲがある多肉植物が多数存在するが、サボテン科の植物は元々北米アメリカの原産なのである。ちなみにサボテンとその他のトゲがある多肉植物の見分け方については、棘の付け根に毛(刺座)が生えているかそうでないか、という見分け方もある。



No.32 Adansonia digitata(バオバブ)
きたぁ~、バオバブ。近いうちに、生のバオバブ見に行っちゃおうかなぁ~なんて。

“ 自然崇拝と樹木信仰 ” は、世界各地で多発的に生まれたものだとしても、いずれにせよそのルーツを遡れば、自ずと人類発祥の地、アフリカまで辿り着くだろう。そして人類がまだ四つ足歩行をしている時代から最も長い時間、信仰の対象となってきた樹木こそバオバブに違いない。現在、日本とセネガル両政府の許可と協力を経て巨大なバオバブの輸送と移植に取り組んでいるが、この小さな個体はその折にセネガルを旅して見つけたもので、樹齢は推定200年とされる。



あっと、スタッフの方が水やりしてましたよ。


最後の壁に書いてある言葉。


廻り終えたら2階にもGO。初めて階段使ったよ。


久々に蒸し暑い日の夜にやって来たポーラミュージアム(そう言えばで、今夏、自宅で未だエアコン使用しておらず)。
会場はちょと強めのエアコン効いていて肌寒い位であった。植物によっては熱帯のモノとかあるけど、大丈夫かな?と本当心配してしまったよ。
絵画とかに比べて色々と面倒なことが多そうな植物の展示会。鑑賞楽しむことできて、開催してくれてありがとう!てな感じでした。
会場設営するにあたって、色々と大変なことがあったんだろうなと、関係者の方々によるシリーズの企画と開催の尽力に感謝です。

鑑賞後にHIGASHIYA GINAでの食事も考えたけど、この日は別のお店へと(先日、和のアフタヌーンティーで訪問したし)。
とは言いつつ、先日訪れた時、その料理一品一品が丁寧な作り込みで美味しかったので、再訪したいぞと。