鑑賞のススメ 和巧絶佳展 令和時代の超工芸@パナソニックミュージアム(July-2020) |
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今回見に行く展示は『和巧絶佳展 令和時代の超工芸』です。超絶的な工芸と言えば、以前に観た「2017年5月驚きの明治工藝」や「2017年10月 超絶技巧!明治工芸の粋」 があったなぁ。今回はどんな作品が観られるかな。 |
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舘鼻則孝(たてはな
のりたか) 1985年、東京に生まれる。2010年に東京藝術大学美術学部工芸科染織専攻を卒業。ポートランド日本庭園(アメリカ)で個展を開催。メトロポリタン美術館(アメリカ)やV&A博物館(イギリス)に作品が収蔵される。 花魁の高下駄をモチーフにした靴。レディー・ガガが着用したことで世界的に有名になった。革に友禅染*2の技法で伝統的な文様を施し、最先端ファッションとして現出させた好例。 |
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桑田卓郎(くわた
たくろう) 1981年、広島県に生まれる。2001年に京都嵯峨芸術大学短期大学部美術学科陶芸コース卒業後、陶芸家、財満進氏に師事。2007年に多治見市陶磁器意匠研究所を修了した後は、現代アートやファッションの分野でも活躍中。 ポップな色彩の作品で海外でも高い評価を得ている桑田。梅華皮など伝統的な技法をデフォルメすることで、器の概念を覆す不思議な表情の本作品は、圧巻の存在感である。 |
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深堀隆介(ふかほり
りゅうすけ) 1973年、愛知県に生まれる。1995年に愛知県立芸術大学美術学部デザイン・工芸専攻学科を卒業。2007年、横浜にアトリエ「金魚養画場」を開設。2018年には平塚市美術館(神奈川)や刈谷市美術館(愛知)で個展「平成しんちう屋」を開催。 深堀の作品はアクリル絵具と透明樹脂を用いており、まるで生きているかのような立体的な金魚が人気の理由のひとつであるが、実はこれらは作家のイメージのなかの実在しない金魚なのである。 |
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池田晃将(いけだ
てるまさ) 1987年、千葉県に生まれる。金沢美術工芸大学大学院修士課程を2016年に修了し金沢卯辰山工芸工房へ。2019年に独立し、現代アートの分野でも高い評価を得ている。 自身になじみ深いサブカルチャーの要素を螺鈿など漆の伝統技法を用い表現している池田。レーザーを用いて貝を切るなど現代テクノロジーと作家の技術の融合が宇宙的な美しさを生み出している。 |
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見附正康(みつけ
まさやす) 1975年、石川県に生まれる。1997年に九谷焼技術研修所を卒業後、福島武山氏に師事。2007年に工房を構え独立した。金沢21世紀美術館など国内外の美術館でのグループ展に参加。2019年には伝統文化ポーラ賞奨励賞を受賞。 九谷焼を構成するひとつ、加賀赤絵の大皿。見附は赤絵細描で伝統的に用いられてきた模様ではなく抽象的な文様を自ら作り出し、見事な技術で人知を超えた世界を見せてくれる。 |
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山本茜(やまもと
あかね) 1977年、石川県に生まれる。1999年に独学で截金を始め翌年には重要無形文化財「截金」保持者、江里佐代子氏に師事。2001年に京都市立芸術大学美術学部美術科日本画(模写・水墨画)専攻を卒業。2014年に第61回日本伝統工芸展NHK会長賞を、2015年に伝統文化ポーラ賞奨励賞を受賞。 ガラスで截金を挟み溶着させる截金ガラス。平面に施されていた截金を、山本が三次元の表現に転化させたことで、繊細な模様が立体的になり、さらに半永久的にその美しさを保てるようになった。 |
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髙橋賢悟(たかはし
けんご) 1982年、鹿児島県に生まれる。2012年に東京藝術大学美術研究科修士課程鋳金研究室を修了し2015年から3年間同研究室の非常勤講師を務める。「驚異の超絶技巧! 明治工芸から現代アートへ」展に選出され作品が全国の美術館を巡回。 アルミの現物鋳造で制作した小花で動物の頭部を形成し、生と死を表現する髙橋。小さく薄いピースの積み重ねである超絶技巧が光る、尊く美しい作品である。 |
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新里明士(にいさと
あきお) 1977年、千葉県に生まれる。2001年に多治見市陶磁器意匠研究所を修了し独立。東京国立近代美術館などのグループ展に多数参加。2011年には文化庁新進芸術家海外派遣研修員制度によりボストンに滞在。 蛍手の作品で知られる新里の新作。過去作に比べ口径を大きくすることで、上方からの光をより広く受け入れ、繊細な模様が際立つ作品になっている。重力とせめぎ合う技術も見事である。 |
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坂井直樹(さかい
なおき) 1973年、群馬県に生まれる。2003年に東京藝術大学大学院博士課程後期課程鍛金研究室を修了し博士学位を取得。2005年金沢卯辰山工芸工房へ。独立後は金沢21世紀美術館などのグループ展に多数参加。 直線的な把手が印象的な鉄瓶。錆びた鉄の素材感と余白の美による洗練された形態が美しい。鍛造による鉄の新しい表現として、オブジェとしても現代生活になじむ作品である。 |
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安達大悟(あだち
だいご) 1985年、愛知県に生まれる。2012年に金沢美術工芸大学大学院美術工芸研究科修士課程を修了し金沢卯辰山工芸工房へ。同染工房専門員を経て、現在は東北芸術工科大学美術科テキスタイルコース講師を務める。 絞り染めの一種で、折り畳んだ布を板に挟んで染める板締め絞りで制作された作品。安達は「にじみ」を模様に取り入れ、発色豊かな現代のテキスタイルを作り出している。 |
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橋本千毅(はしもと
ちたか) 1972年、東京都に生まれる。1995年に筑波大学芸術専門学群を卒業し、2000年から2年間、東京文化財研究所にて漆工品の修復に携わる。2006年に独立。 螺鈿と平文による花を散らし、螺鈿と蒔絵を施した蝶を把手として取りつけた円形の箱。上質な貝と確かな技術に裏打ちされた華やかな色彩が見事な逸品である。 |
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佐合道子(さごう
みちこ) 1984年、三重県に生まれる。2011年に金沢美術工芸大学大学院美術工芸研究科修士課程を修了。東京国立近代美術館などのグループ展に参加する一方、2012年には「ALFAROMEO I AM GIULIETTA THE DRIVE ART」プロジェクトに参加し、2019年金沢美術工芸大学にて博士号取得。 有機、無機の相違を成長、成熟の有無と捉えている佐合は、本作でも細かなヒダを張り巡らし、生きているような表情を与えている。鋳込み成形を用いながら、繊細な技で自然を再解釈した良品。 |
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