熊野古道




とある日の池袋東口で高速バスを待つのであった。本当はミャンマーに旅立っているはずが…。
ビザ申請したパスポートが返ってこない。代替案の穂高縦走は天候不良により取りやめ。
そんな訳で、東北地方で記録的な大雨に襲われている中、紀伊半島は熊野古道を目指す。

急きょこしらえた旅程はこんな感じ。街の移動はバスが基本となるので、時刻表をにらんで計画。
1日目:紀伊勝浦→那智(大門坂→熊野古道トレッキング(約1h)→熊野那智大社→那智滝)→新宮(神倉神社→那智速玉)
2日目:紀伊勝浦(宿)→熊野本宮(発心門王子→熊野古道トレッキング(約2h)→熊野本宮)→紀伊勝浦

本当は紀伊半島は西の紀伊田辺より熊野古道・中辺路(約40km)を1泊2日でトレッキングしようとしたのだが。
藤原定家、和泉式部や安倍清明が往来したという中辺路、俺も同じ道を辿ってみるぜ!というのが理由。
しかし、限られた日数では難しい事が判明したので、現代人らしく文明の利器を多用して熊野三社を巡ることに。



勝浦温泉でぽいっと解放される、しばし現在地把握に戸惑う(夜行バスでほとんで寝られず)。


宿に荷物を置かせてもらって紀伊勝浦駅へと。



駅前の川柳なるところで「めはりとさんま」のお弁当を購入。めはりもさんまも美味い。





熊野古道の雰囲気たっぷりな大門坂(約600m)を通って那智の滝を巡る約1.5時間のやや急ぎ足ツアーだ。(9:20)


てくてく。(9:22)


かつて関所があったところ。(9:22)


鳥居とその先にある小さな振ヶ瀬橋。(9:22)


かつて南方熊楠が3年間滞在していたという旅館跡。(9:23)


市女笠なる平安衣装を貸し出してくれるお店&喫茶店かな。(9:24)


大門坂の始まり、夫婦杉。樹齢800年とのこと、でかい!(9:24)


結構な暑さの中、衣装をレンタルする女性3人。熊野古道に市女笠が雰囲気良し。
もっときちんと撮りたかったけど、おばちゃんたちが邪魔で、やや右寄りな撮影。(9:25)


多富気王子(たふけおうじ)。(9:26)

いくつかある熊野古道の中で紀伊路・中辺路にだけ存在する王子。王子が何の目的で設置されたのかははっきりしていなく、参拝途中の儀礼場所、休憩といくつかの説があるみたい。それらは総称して「九十九王子」と呼ばれている。「九十九」とは実際の数ではなく、多くの数という比喩。そして多富気王子は、その王子で最後に位置するものである。



大門坂の町石(ちょういし)。大門坂には六町まである。
町石とは高野山への参詣道の道しるべで1町(109m)毎に設置された石柱。(9:26)


楠大樹。樹齢は800年とのこと。(9:26)


途中、じぐざぐな一般道と接する大門坂。車でやってきて大門坂をチラ見する人あり。(9:28)


樹齢500年以上といわれる杉の木が立ち並ぶ。そのほとんどが杉で、楠もちらほら。(9:33)


かつて通行税が徴収された十一文関跡。祈り石という唐斗石。上に小石を載せて願掛けするとか。(9:34)


大門坂を抜けて開けた場所。ここは、かつて大門があって仁王像があったという。(9:39)
この辺に「晴明橋の石材」があったという。安倍晴明が那智山に籠もる花山法皇にお供した際、
この付近に庵を結び、庵を晴明庵、庵近くの橋を晴明橋と呼ばれそうな。リサーチ不足で見逃してしまったよ。


お土産屋さんを挟んでの最後の石段。(9:43)


日射し強く、汗だくだく。(9:48)


ようやく鳥居が見えてきた。一の鳥居。(9:49)


さらに石段は続く・・・。石段横にある洗面所で顔を洗ってさっぱり。(9:52)


神馬。こんなところにあるんだ。もっと社に近い場所と思っていたけど。(9:55)


石段を上って二の鳥居をくぐると、こんな感じ。


拝殿の鐘がずらり。(9:56)


なかなかに良い見晴らしに麦茶サービスも。


こんな見晴らし。


こちらは那智山青岸渡寺。佇まいが渋い。(10:02)


と、那智の滝の方に目を転じると、向こうに滝が見えるぞと。


てくてく、結構歩く。


あれ?途中、道を見落としたかなと思う頃に道案内が。(10:19)


鎌倉時代に造られたというお滝道。かなりの急階段を下って。(10:20)


「那智の滝前」バス停へと到着。(10:22)


ここから、もう暫くテクテク。(10:23)


足の弱い人には厳しい参拝となる熊野那智。(10:24)


階段を下り終えると那智の滝が眼前に。(10:25)


さすが日本一と称するだけあって、なかなかの迫力。
熊野那智大社の御神体だ。


光が峯遥拝石。


「那智の滝前」から帰ろうとも思ったが、時間が余ったので大門坂を下ることにした。
途中にある自販機、熊野古道バージョン。


再び大門坂。(10:40)


ツアー客は上にあがってから、大門坂を下るのがお決まりコースなのかな。(10:46)


行きで撮り損ねた大門坂入口の夫婦杉。行きの方が条件良かったかな・・・。(10:48)


恐れていたとおり、日陰のないバス停にてバスを待つ。(10:53)






紀伊勝浦まで戻らず、途中の那智駅で降車。うまくいけば電車でとも思ったけど、びっくりするほどスカスカ時刻表。


那智駅を出て左にある農産物直売所にてお昼を購入。井筒さんのさんま寿司を購入(生産者の名前+写真付)。


バスに乗って新宮駅へと。


駅のレンタサイクルがなかったので、駅前の徐福公園にてレンタサイクル


熊野ではトビをぼちぼち見かけた。


神倉神社へは迷うことなく道案内もしっかり。


あれが神倉神社だなと。


神倉神社、結構な勾配じゃね?


これは、かなり厳しい!


途中一息、石段の途中に祀られた、火神社(左)と中ノ地蔵堂(右)。
ここからは、勾配もやや緩やかに。


こんな感じ。


途中、何かの石柱。


ようやく石倉神社にたどり着くっぽい。


第2代新宮城主、水野重良が寄進した一枚岩をくり貫いた手水鉢。


で、こちらが神倉神社と御神体のゴトビキ岩。熊野三社の発祥の地だとか。


神倉神社からの眺め。海をバックにした新宮の街並みだ。


てくてく元の道を戻る。


自転車にまたがって、熊野速玉へと向かう。
こちらは熊野地方を治めた堀内氏の屋敷跡。


氷屋さんだ。


そしてスナック街へと・・・。


で、気付いたら熊野速玉大社へと。


自転車のフレキシブルさを活用、すぐさま境内へと。
こちらはなぎの木。葉が丈夫で簡単に2つに折れないため、昔から実や葉を家内安全のお守りとして使われているという。


熊野神宝館と入口にある木彫りの弁慶。


そして、熊野速玉大社、御神門へと向かう。


門の手前に、おばちゃんがちょこんとお土産屋さんを出している。
日陰で一休みしていたら、こそっとたばこを吸っていたりして、ちょと笑った。


馬と、猫だよね(?)。社紋はご存じ、八咫烏(やたのからす)。


御神門をくぐったところ。


こちらは拝殿より。


やっぱりある世界遺産アピール。


熊野速玉大社を出て、河原屋横町へと。かつては600戸ものお土産屋さんが立ち並んでいたとか。


北山川のイラストが描かれたじゃばらジュースでちょっと休憩。
北山川の川下り、懐かしいな。和歌山、自然良し、食べ物良し、人良しといった感じ。
お土産のお菓子を買ったら、一人参拝を不憫に思ったのか縁結びとしてなぎの葉をくれた(効果あるかな?)。


かなり時間が余ってしまったなと。丹鶴城あとを自転車よりチラ見して。


なので、浮島の森をサクッと訪問。


こちらは、堆積された植物が浮いて、それがいつしか島の様に大きくなったというもの。


住宅地に密接している浮島の森だ。島に渡って内部を散策。こちらは伝説もある蛇の穴。
上田秋成が、この蛇の穴を題材にして『雨月物語』の一遍を書いたとも言う。


レンタサイクルを返して新宮駅に戻ると、数少ない列車が出るという。


数は少ないけど、安いし早いしで列車にて紀伊勝浦へと戻ることに。


やることがないので、紀伊勝浦の遊覧に乗ろうとしたらタッチ差の出航後。
最終便があると思いきや、16:10便は明日からの就航という。


うーん、と宿にした万清楼にチェックイン。系列ホテルのホテル浦島にあるホテル巡りが無料とのこと。
んじゃ、(そんなに期待しないけど)時間もあるし、行ってみますかと。


無料の送迎船で対岸のホテル浦島へと。

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ホテル浦島に到着。


事前にもらった地図で、かなり大きなところだぞと。こりゃ温泉巡りも気合を入れないと迷子になりかねん。
と思ったら、館内の床には温泉に向かうルートが色で記されていて、わかりやすい!
そして、巨大な館内はエアコンも効いていて快適!(節電大丈夫かな・・・)


先ずは茶色の線を辿って、名物といわれる忘帰洞へと。
こちらの忘帰洞は徳川頼倫が訪問した際に「帰るのを忘れるほど」と褒めて名づけられたものらしい。


ここを左に行くと、その忘帰洞へと。


どれどれと、やや温度+湿度が上がるその先に向かうと。


おぉ~!とファーストインプレッションは○だぞ。


広々脱衣所も綺麗にして、きちんと清掃が行き届いている。


おぉ~!と、予想以上の迫力ある忘帰洞だ。
なんだか温泉巡りヒットじゃね!?とワクワクしてきてしまった。


こちらが昔の忘帰洞。


次は緑のラインに従って向かうは遥峰の湯だ。


エレベータで33Fにあがって。


おぉ~!と、素晴らしい見晴らしだ!ガツンと何かのスイッチが入ってしまった。
湯船につかると、ガラス越しの向こう10m程か、トビが空中を舞っている。
ここは旭山動物園かと思うほどの至近距離でトビと対面してしまった(撮影できず残念)。


スイッチが入ったので、すべての湯を巡ることに決定。さっきの忘帰洞でスタンプを押してなかったから、後で押しに行かないと!


こちらは天海の湯で、さっきの遥峰の湯とは東西(?)に配置されていて、朝日・夕日を楽しむことができるという。
粋な設計をするじゃないかと、スイッチモード(こちらの湯は人が多くて、お風呂撮影は断念)。


お次はと、ハマユウの湯は女性専用なのであきらめて。


男性専用の滝の湯に向かう!滝の向こうにあった大きな桶湯船もまた良し!


スタンプも残り2つ!


左右のお土産屋さんやら、個人のハンドクラフト屋さんやらの長い通路を通って磯の湯へと。
こちらも、ざっぶーんと脱衣所から見える海が良し!


そのまま勢いかって、最後の玄武洞へと!


忘帰洞みたいな玄武洞。こちらは、より海まで近づける湯船がまた良し!
こちらの湯船でゆったり浸かっていると、(ふと目に入った)オジサンの股の間からキラリと金の玉 、いや、銀の輪が!?
え!?っと思ってガン見しようとしたら、おじさんは肩まで湯に浸かってしまって、ブツはチン没 してしまった。いや~、驚いた。


途中、火照った体を冷やしながらとスタンプをコンプリートしたよ。


気持ち良くさっぱりして、ホテル浦島を後にする。
送迎船が到着すると、太鼓でお出迎え。日々の業務で、手練れた太鼓打ち!


これがコンプリートしたスタンプ帳。
湯めぐりスタンプを3つ以上集めると景品ももらえるのだ!
レセプションでスタッフに渡すと、こそっと景品をくれた。


送迎船にてホテル浦島を後にする。
正直、趣味の悪い温泉があるんじゃないの?的な懐疑的な気持ちで訪れたホテル浦島の温泉。
が、これが、これが、素晴らしい温泉に素晴らしいホテルスタッフ(おもてなしを感じる接客)で、大変満足。


夜は評判のお店、桂城へと。


ボリューミーな料理盛りだくさんで(自分で頼んだんだけど)、いつもの2倍くらい食べてるか?
もう食べられません…と完食して店を後にした。

前夜の睡眠2時間ほどで熊野巡りをした1日、締めの温泉巡りで気持ちさっぱりしているけど、やっぱり疲労あり。
バタンキューと21:30頃に就寝。